キッチンと蕎麦打ち

昨年の大みそか、久しぶりに蕎麦を打った。
蕎麦打ちや、餅つきみたいに、年に一度のイレギュラーな行事も、毎年恒例なら、それはもうレギュラーだ。

混ぜて、捏ねて、広げて、打つ。サラリと食べてしまう割には力仕事で、長時間やっていると本当に腰が痛くなる。作業台の高さがとても大事だと実感する。

メインキッチンは最も一般的な85㎝の高さ。コンロで海老を揚げ、大きな鍋で蕎麦を湯がき、シンクの大きなボウルの氷水で締める。H70㎝の食卓に運んで、ゆでたての蕎麦をいただく。そばつゆはみりんとしょうゆで合わせただけ、花かつおの出汁で割って頂く超簡易スタイル。

今年のそば粉は加水率が48%。水を加え全体重をかけて押し込む。これが、メインキッチンの作業台の高さ(H85㎝)だと腕がしっかり伸びずに力が入らないので、食卓(H70㎝)で行うのがちょうどいい。捏ねているうちに、手についている粉が次第にまとまり、弾力が出てくる。

生地を伸ばす。昔、職人のような長い麺棒を使っていた時は、低い場所が作業しやすかった覚えがある。今はクッキー用の短いものを使っていて、不思議なことに高さの不自由がなくなり85㎝の台の上でOKだった。麺棒の長さに高さが依存するとは新発見。

そして麺打ち。蕎麦打ち用の包丁は重たいし、年越しそばは大人数で量が多い。神経を使うし、何より細いそばが食べたい。ずっと同じ姿勢で腰が痛くなるので、打ちやすい高さが本当に重要。H95㎝の作業台は、背筋が伸びて長時間作業がしやすいし腕が疲れにくい。

状況に応じて利用しやすい作業台の高さは変わる。普段のシチュエーションでも使えるので家をたてる際は作業台の高さのバリエーションをつくっておくのはお勧め。状況に応じた「ベストな高さチェック」をしてみるのも楽しい。

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